会長挨拶
公益社団法人日本顎顔面インプラント学会の第20回総会および学術大会を開催する機会を与えていただきました瀬戸晥一理事長をはじめ、本学会員の皆様に心より感謝を申し上げます。現在私が勤務しております東京医科歯科大学において、本学会を開催すること大変光栄に思っております。この度の学会テーマを「インプラント治療のミッションを考える:さらなる顎口腔機能回復への展望」としました。
スウェーデンのBrånemark教授によって骨内で安定するチタン製のスクリュータイプのインプラントが開発され、1965年にヒトへの臨床応用がおこなわれました。このインプラントが、臨床で現在使用されているインプラントのプロトタイプとなりました。私は1979年に歯学部を卒業しましたが、その当時、我国には骨内で安定して長期機能するインプラントは存在しませんでした。大学病院の口腔外科では、インプラントを除去する症例が多いため、”Implant”ではなく”Explant”と呼ばれるような悲惨な状況でした。
本学術会は第20回ですので、20年前の1996年に第一回の学術大会が開催されたことになります。私が現在勤務する東京医科歯科大学歯学部附属病院のインプラント外来は、1997年に開設されました。すなわち、1990年代に骨内で長期安定して機能するインプラントが臨床で用いられるようになって、大学の口腔外科医がインプラントを”Explant”ではなく”Implant”として認めたことになります。
それから約20年の時を経て、現在では多くの歯科医がインプラント治療をおこない、多くの患者さんがインプラント治療を受けています。インプラント治療を受けたことで多くの患者さんは満足されていますが、その一方で、インプラント治療を受けて問題を抱えている患者さんの増加が大きな問題になっています。このような状況において、インプラント治療をおこなっている全ての歯科医に、「インプラント治療のミッション(使命)」について考えていただきたいと考え、本学術大会のテーマとしました。
本学術大会において、招聘講演をライフネット生命保険株式会社代表取締役会長の出口治明氏、特別講演を本学医療経済学分野教授の川渕孝一先生と分子免疫分野教授の東みゆき先生にお願いしました。また、インプラント周囲炎、組織再生、顎骨再建に関する三つのシンポジウムを企画しました。
本学術大会に参加される先生方の臨床あるいはまた研究の益々の発展を祈念致しまして、大会長の挨拶とさせていただきます。
第20回公益社団法人日本顎顔面インプラント学会総会・学術大会
大会長 春日井 昇平
(東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 インプラント・口腔再生医学分野)